七福湯

<DATA>
開店:  15:30
閉店:  23:00
定休日: 月
住所: 名古屋市南区観音町4-13
電話:  052-691-7834

調査日:2004/10/16(日)


<各写真提供:七服湯様>

ご丁寧にメールにてご案内頂き、訪れることができた銭湯。(ありがとうございます)
道徳付近に位置するが、この界隈はレトロから近代的な銭湯まで幅広くラインナップされており、いわば激戦区である。 

情報によると昔は「玉姫湯」といい、7年前に建物を一新、七福湯として再出発されたのだそうだ。 
玉姫湯時代は「シャワーも無く浴槽から洗面器で湯をかき出して体を洗うという、
超レトロ(ボロイだけ)な風呂屋だった」とのお話でしたが、それはそれで一度入ってみたかった
と思うのはレトロファンの性であろうか。

 今は比較的広い駐車場が目の前にある、スーパー銭湯にも匹敵する設備を誇る近代銭湯である。 
その佇まいは和風で入り口は自動ドアながら、その屋根は唐派風的な造形になっている。 
入り口脇には駐輪スペースも確保され、まわりに自転車が散乱するようなこともなく付近住民への気配りも伺える。 

入り口を入るとロビーの空間となる。入ってすぐ右手に近代銭湯ながら、金属に穴あき蓋タイプの下足箱。
 穴の形状が丸ではなくひし形(だったと思う)のもので、近年新造されたもののようだが、このタイプを今も作っているのだろうか、、
お話によると、「下駄箱の蓋は昔の物をそのまま使っている」とのことだった。 
これは後述するがこの銭湯の一つのスタンスの現れている部分だと思う。 

 下駄箱:旧玉姫湯の蓋を使用(昭和初期)

 入って左側前方にカウンターがある。 カウンター手前が男湯、奥が女湯というセオリー通りの入り口レイアウト。 
男湯入り口近くのカウンター脇にはドリンク冷蔵庫がある。内容はメグミルク各種100円。 
カウンターの向かいはソファーが設置され、湯上りもゆったりできそうだ。 ロビーは広く感じられ、木目調が生きている。 
なによりカウンターに座っておられたおばちゃんの感じが良く、近代的ながらアットホームだというのが第一印象だった。 

 カウンター:「番台の雰囲気を残しました」とのこと。

 暖簾をくぐり脱衣場へ入る。 これは意外だった。 新しい銭湯なのにロッカーが木製で、木の蓋、
蓋中央には漢数字で番号が書かれており、名古屋の往年のレトロ銭湯を思わせるものだ。
このロッカーが外壁側に設置。 

 ロッカー:「父の拘りで四・九(死・苦)番は有りません」と教えて頂いた。
       なるほど、本当です。

男女仕切り側は鏡。その前にはドライヤーと紫外線滅菌機に入ったブラシなどが設置されている。 
中央には長いすが設置されており、床は名古屋にありがちなゴザマットではなく、ピカピカのフローリング張りで、
とても清潔に保たれている。 

 バリアフリー:実はバリアフリーになっています。介助用の車椅子も用意されている。
         普通は段差があるんですよね、緩衝地帯は。でもここは平坦になっています。

 掃除をこまめにしている様子も見られ、ことのほか清潔さを心がけていることが誰にでもわかるはずだ。 
脱衣場も比較的広々しており使いやすい。 緩衝地帯は脱衣場側につながった状態で配置されており、
流しは男女仕切り側のみ。外壁側はトイレである。 

 浴室に入る。 きわめて近代的で、明るい印象。 しかしすぐにそれだけではないことに気付く。 
男女仕切りの壁面に、真新しい表面の富士山をバックにした太平洋に浮かぶ宝船に七福神が乗っている、
そんな絵柄のタイル絵。 中部地区で多いモザイクタイル絵ではなく、タイル自体に絵が描かれたタイプのものだ。 
ただ新しくするだけではなく、従来客が安堵感を覚えることができるようにシンボルともいえる部分は残されているのだ。 

 壁画 アップ:「父が下書きした絵が、そのまま壁画になっていしまいました(ちょっと顔が怖い・・・)」
     とは七服湯さんの若旦那の談。 

 浴槽レイアウトを見てみよう。男女仕切りに沿って配置される(写真参照) 
洗い場は外壁側と、浴槽がない部分の男女仕切りに配置。 
結構大きめの物置台が設置されており、桶などもおける幅がある。 

お話によると、
●浴槽:名古屋スタイルを意識し、脱衣場から浴室に入るとき中央に湯船が見えるよう配置。
     中央部は静かにゆったりと入れるようにあえてバイブラにせず。

●薬湯:男湯は大黒様、女湯は恵比寿様(男女唯一の違い)
     日替わり。(天候、曜日などを考慮)

ということであった。 意識しないで普段入ってしまういろいろなお風呂屋さんもこういう視点で見てみると
 気付かない心遣いがあるにちがいない。

 シャワーはホースが着いていて、カラン部分についているコックをひねる家庭でもあるタイプで
銭湯慣れしていない人でも使いやすいだろう。 湯温度、量ともに満足できるものだ。 

 突き当たり面は外壁側に水風呂、その脇(面中央あたり)にサウナ室、一番右が中庭で、
サウナの火照りを冷ますのによさそうだ。
サウナはログハウスのような室内になっており、結構熱くて気持ちいい。 

 客層は比較的若い部類から、銭湯がサマになるお年寄りまで幅広いと感じた。 
湯の温度や清潔感、接客まで実に好印象の銭湯で、レトロファンから銭湯に接したことのない人まで
幅広くおすすめできるナイス銭湯だ。 

 それぞれの部位に込められた思いが伝わってくる、こだわりが印象的だった。

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