千成温泉

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開店:  15:00
閉店:  22:00 
定休日: 土(月に1度、金、土連休有)
住所: 名古屋市港区名港1丁目11-18
電話:  052-661-4676

調査日:2004/01/04(日)

 名古屋港水族館近くの築地商店街の中にある、昔ながらの銭湯。
最小限のリファインで味のある部分はしっかり残されている。保存状態がとてもよいと感じた。
正確な築年は分からなかったが、昭和30年くらいじゃないかとのことだった。  
外観も昭和を感じさせるもの。 正面上部に温泉マークがあるのがチャーミングだ。 
台形に張り出した入り口は左右に入り口があり、中が土間、そしてまた左右に入り口。左が男湯、右が女湯。 

 入るとすぐ番台。 入ってすぐに目に入るのは、脱衣場上部にあるモザイクタイル絵。

湖に山々、そして洋風の家がほとりに立ち並ぶ絵柄で、面積も大きい。 立派なものだ。 
この時代に生産されたタイルは色合に透明感があるというが確かにそのようだ。
表面のツヤも深い。 ここの壁画は建築当時からのもの。

そして番台も長い年月を刻んだ渋い木の色合を出している。 
おばさんも感じの良い方で心が和むのだ。

 ロッカーは名古屋定番の中央がガラスになったタイプではなく、古めかしいパターンの化粧板の蓋。だがやはり木製だ。 
男女仕切りの鏡も昔からのものだろう。 床は木でゴザマットが引かれている。 

 緩衝地帯の流し台もいい味を出している。微妙な曲線を描く細かいタイル張りのもの。 
こうした造形は美しい。
そして下部は細かいグラデーションが入る。 

緩衝地帯手前、つまり脱衣場壁画をささえる円柱状の柱も細かいタイル貼りで、タイルワークがすばらしい。 

 浴室を見てみる。 やりました。やはり、、ありました。富士山のモザイクタイル画。
しかも比較的面積が大きいものが浴室突き当り壁面中央に配置される。浴室の壁画は、
脱衣場のそれより新しく、改装されたときに作り直したとのことだった。
他の壁面部分は1枚の面積が大きいものに張り替えられている。

 浴槽レイアウトは典型的な名古屋スタイル。 
中央に角の大きくまるまった長方形のセンター浴槽。 手前が浅く、奥が深くなる仕切りのない浴槽。 
湯温は適温。熱からず、ぬるからず。 他は壁画下に2つ。 左がデンキ、右が壁面側から噴出すジェット。 
椅子となる段差はデンキ側と手前にL字につけられている。 男女仕切りの角には岩がちょっとしたアクセントとして置かれている。 
白湯よりややぬるめ。名古屋的温度か。 

 特筆すべきはこれらの浴槽のタイルが長方形で流し模様のはいった細かいタイルを使ったもの。 
殆どの銭湯で張替えが進んでいるが、ここはこまめに補修しているようで保存状態が良い。 

 洗い場は男女仕切りと壁面側に2列ある。この洗い場の台になっている部分は黒い細かいタイルが残っている。 
カランはお湯と水。 お湯がかなり熱いので気づかずに勢い良くやるとヤケドしそうだ。 水といっしょに使うことになるだろう。 

 シャワーは適温で、古い銭湯にありがちなショボショボなものではない。 
古く味があるのに洗い場などがバツということがないのはすばらしい。お年寄りが談笑していて和やかムードだった。 

 それにしても次々とお客がやってくる。レトロな銭湯は大抵お客がまばらなのだが、ここはしっかり息づいている感じだ。 

レトロな銭湯アイテムはほとんど装備している。 もちろん天井扇もある。
 ドライヤーのコインシューターも渋い。なんと10円。現在最安値。 
ドリンク冷蔵庫は番台より少し前の男女仕切り鏡前に置かれている。 牛乳は確認できなかった。 
トイレは番台の横、外壁沿いの下足箱裏のついてたての奥にある。 

 いい湯であった。 名古屋港水族館とセットで行って見るのも良いだろう。

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