おばあちゃんのあたたかな人柄が映える。生きている昭和。

大丸湯

<DATA>
開店: 16:00
閉店: 22:00
定休日:月、木
住所: 愛知県岩倉市下本町下市場21
電話:0587-37-3869


調査日:2004/02/28(土)

 こちらも岩倉に1件のみの銭湯。 名鉄岩倉駅を東側に出るとレトロな感じの商店街が延びる。 
その商店街を東に進むと突き当りに煙突が見える。 
だが建物は、、、1件裏に入り込んでいるので、脇の通路を入っていくと奥に銭湯の入り口が。
木造でこれはまたレトロな感じの銭湯だ。 

通路の入り口に案内の看板があるから少し気をつければ見つけられるだろう。 
最初におとずれたときはまだ営業時間ではなく、銭湯の右側の自宅のほうで営業時間をうかがったのだ。 
それまでの時間、一宮の銭湯を視察してきた。 再び戻り営業時間になっていた。 
あらかじめ撮影のお願いをしてあったが本当にいろいろお世話になってしまった。 

番台にすわるのは83歳のおばあちゃん。 
女湯側のお客がいなくなった時に、女湯側も撮影させていただけたし、
まだお客さんがいらっしゃったときにカメラを持っていって壁画を撮ってもくれた。 
実にアットホームで暖かだった。 と、、先に感想を述べてしまったが、建物も味だ。 

入り口は向かって右が女湯、左が男湯。 通路からだと手前が女湯、奥が男湯となる。
これはめずらしい。 通路に近い部分は男湯の場合が多いのだ。

入ってすぐに脱衣場。外壁側に斜めに木の札を刺すタイプの木製のロッカー、
外壁側には化粧板のはめこまれた木製のロッカー、
男女仕切り側の緩衝地帯寄りにはフル木製でレトロなロッカー。中央に数字が書かれている。 

番台の前にはドリンク冷蔵庫。オロナミンCがよく入っているタイプ。中身はオロナミンCなど。牛乳はなかった。 
中央には背もたれのついた長いすとその奥にオレンジ色のレトロなマッサージ椅子。
横には石油ストーブがあってまた雰囲気が暖かい。 
けっして近代的で今時のスーパー銭湯などにあるような豪華装備の入浴施設があるわけではないが、
この居心地のよさは人のかもしだす安心感や時代の刻んだシックリ感だ。
 これはインスタントな銭湯には真似ができない部分であろう。 戦争で名古屋方面より焼け出されこちらに
移ってみえたそうで、これまでなんとかやってこられたのもお客さんが来てくれたおかげだと、一見さんの私にすら
感謝の念を語っておられた。頭が上がらない。 この謙虚さも苦労を重ねてこられた人のみが持つ賜物だろう。
雑談も大変勉強になったし楽しかった。 昭和35年頃からやってみえるそうだ。

上部からポスターがぶらさがっていたりする。 緩衝地帯は天井が高めで、流しは外壁側。 
細かいタイルで懐かしい感じだが、目地もしっかり手入れされている。 
浴室へのトビラにはオロナミンCのステッカーが貼られている。 

 浴室へ入った。 職場の岩倉の方にこの銭湯のことを伺ったのだが、これは久しぶりのヒットだ。 
男女ぶちぬきで立派な壁画があり、いかにも昭和の時代を感じさせる全体的な雰囲気。これは味わいにつきる。 

壁画は女湯側にお城、男側に白鳥が泳いでいる洋風の風景だ。

女湯側のほうが絵がいいかもしれない。 でも男湯側にしか白鳥さんはいないのだ。

上部の天井は四角錘で真っ青なペンキで塗られており、
湯気抜きは大きめで透明なトタンから漏れる光がやわらかく実にいい雰囲気を生み出している。
是非明るい時間に訪れてほしい銭湯だ。 

 浴槽レイアウトはシンプルで、男女仕切り側に3つ並ぶ。
手前から浅い白湯、真ん中に一番大きめで深くなっている白湯。
湯がなみなみ出ており、湯の温度も名古屋的ながら快適だ。
一番奥は浅めで枕のついた寝湯でやや浅め。 ジェットなどはない。 


写真は女湯側洗い場。男湯側と対称形になっている。男湯側は外壁側上部に窓ガラスがあり
光が入るあたりと、壁画が違いだろうか。
 洗い場は外壁側に1列と、浅い白湯の前に1つ。 カランはお湯と水でお湯はかなり熱いので混ぜて使う。 
シャワーは古い銭湯なので最初は水が出るが、じきにお湯が出てくるから安心してほしい。 

 お客はさほど沢山入ってはこないが、だれもが常連さんで、おだやかなおじいさんやおじさんたち。 
久しぶりに雑談が楽しかった。 こんな雰囲気はもう名古屋で味わえるところは少ないかもしれない。 

 是非また訪れたい銭湯の一つになった。 
レトロ銭湯ファンなら名鉄犬山線で名古屋からすぐなので是非訪れてもらいたい。
 駐車場も裏手にあるから車でもOKだが付近は細い道も多いから多分電車のほうが楽だ。 
銭湯を出てやや右側に歩くと酒屋さんがあるのでビールを片手に電車で帰るってのも気持ちがいい。

 みなさんにも応援してほしい銭湯です。

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