名古屋近郊の刈谷市で唯一つの貴重な銭湯。

刈谷浴場

<DATA>
開店: 16:00
閉店: 22:00
定休日:
住所: 愛知県刈谷市新栄町6丁目6
電話: 0566-21-2637


調査日:2003/11/8(土)

感動のあまり手ブレしてしまった、、、それくらいの衝撃度だった。 これはメガトン級のすばらしさです。
向かいにある刈谷浴場の駐車場から撮影してみました。 駐車場もあるので遠方からもOKですね。

この刈谷浴場は、銭湯ファンなら必携の書といわれる「廿世紀銭湯写真集 SENTO」というこれまた
スゴい本にも取り上げられ、近代建築物として非常に価値があるものだ。
 探すのに苦労し遅くなってしまったために、非常に不利な条件下でノンストロボ手持ちの撮影だった。
補正によって若干黄味がかっていることをおゆるしあれ。 この神殿風の柱、刈谷浴場の文字も
モザイクタイルによるもの。 タイルワークの一つの頂点かもしれない。 上部の欄間の彫りが温泉マーク
 なのも泣かせる。

 それにしても刈谷駅周辺は一方通行がひどく、おまけにアピタ(ショッピングセンター)がやたら道を阻む。
 本当にイライラした。 そんなイライラもここで洗い流すことにしよう。 名古屋方面からの行きかたのコツは、
名四(23号)のバイパスを使い、刈谷ICで降り、51号線を刈谷方面へ。 アピタが見えたら、さらに進むと
レトロなカンジの商店街に。さらに進むとY字路で、左側は広い道路、右手に商店街がつづきやや細い道路。
右手に入り、しばらくいくと左手にある。 ここまでくれば目立つのですぐ分かるだろ。

入り口が暖簾じゃなくて、西部劇の酒場みたいにパタパタと開くようになっている。ガラスではなく
カーテン地のような布がはられているトビラだ。 これを押してはいるとウェーブのかかった衝立の
 向こうに独特のアールを描いた番台が現れる。

すべてが洋風というか、アールデコ風。 パステルグリーンを基調として色彩が統一されており
 このカラーリングがまた洋風レトロな味わいをかもしだしている。 こうした建物が現役で
保存されていること自体大変な価値であるということが私にも分かった。 番台のおばちゃんは
とても気さくで、本当にあたたかな方だ。 建物だけならおそらく寒い感触なのだろうが、
人も含めて銭湯は完成するのだ。 刈谷界隈には最盛期には7件あったのだが、現在ではここ
1件のみで、あとはスーパー銭湯だけだ。 お客さんの声に励まされて頑張ろうとおもって
やってこれたと言っていた。 私も応援したい。 明るい時間にどこかの大学の生徒さんらが
やってきて写真を撮ったり、ご主人の昔からの話をうかがったりして勉強していったそうだ。
 ここの湯は水が良いと評判らしく付近の方が水を汲みにくることもあるそうだ。となりにマンションを
建てられたときもそこの方がその水の出におどろいたそうだ。水脈でもあるのかもしれない。
 確かにここの湯は妙にあたりがやわらかい。 湯が固いな、、、と感じるときがあるが、ここは
塩素がバリバリにはいっているわけではなく、本当にいいお湯だと思う。 なるほど、、と思った。
おばちゃん、腕を負傷され、ようやくなおったら足をやってしまったらしい。おかげで力をこめて
掃除ができなくなったと嘆いておられた。 ううむ、なんなら有志で1日徹底的にメンテナンスの
 お手伝いをしてみたりてもよいかも、、、、

このロッカーを、、、すべての蓋に温泉マークが。 カラーリングはやっぱり統一されている。
本当にアジだ。

旨くとれなかった、、、;; この柱の造形に注目してほしい。上部に装飾がなされている。
まさに神殿のような建築だ。 浴室はお客がどうにも切れなくて迷惑になると本末転倒なので
今回はあきらめたが、突き当り壁面はちょうど神殿窓の中から外をみたような、イメージで
そこにモザイクタイル絵で山の風景が描かれる。 浴槽レイアウトは男女仕切り側に
とても浅い白湯が2連で並び、その奥は扇型に2つ、右がややせまく、左が広めで温度が
右より高めに設定。 ヘリの高さが高めですっぽり入り込む形になる。 お湯はやや少なめかも
しれない。 左側中央に単一で長方形のデンキ湯がある。手前に電極、奥には電極はない。
 洗い場は電気湯の手前と奥に各3つずつで少なめ。 カランは家庭のひねる蛇口である。
シャワーは普通に銭湯にあるものだ。 それにしてもここのお客はだれもが銭湯通だ。
非常に手際よく洗い、大量のお湯をつかわないでキレイに洗う。 またマナーも非常に良いと感じた。
おばちゃんが「こんなに古くなっちゃって、汚いだけでゴメンね」などと謝ったりしておられたが、
よくこれまでがんばって続けてきたとむしろ感謝したいくらいだ。
 もしやるなら、この形を崩さずに細部をメンテできたらとてもステキだろう。

とにもかくにもタイルワークだ。 体重計奥の衝立部分もタイルのデザイン画が、、。
窓枠もカラーが統一。 明るい時間に来たらまた雰囲気がちがっていいかもしれない。
次は明るい時間に来よう。

中部地区が誇る伝統的銭湯の一つ。 東京型銭湯ばかりが銭湯じゃない。
 こういう多様性が面白い銭湯めぐりなのです。 ドリンクは名古屋牛乳100円。
ドライヤーはコインシューターが壊れていて、お金だけいれて、コンセントを鏡の上のところに
直接差し込んで乾くまで自由に使ってください、とのことだった。 コインシューターは
貯金箱の役割になっているのが微笑ましい。 こうしたやりとりも人間味があって
いいものだと思うのだが。 自動化された近代銭湯ではありえないだろう。

 なお刈谷市の銭湯料金は300円。 ここしかないから刈谷浴場専用価格とも言える。
名古屋が380円だから安すぎる。 いいのだろうか、、なにか申し訳ないような気がした。

銭湯ファンならやはり行っておくべき銭湯の一つではないだろうか。
 東京の銭湯界を牽引するつかささんのトコロでもレポートされています。やっぱり衝撃だったんですね
ここは ボロいけど妙に落ち着くと述べておられるように、癒しの要素を感じたのは私だけではなかった
ようです。 それとやっぱり入り口がインパクト大(つかささんのトコロ)です。

 CBCラジオの「街角ステーション」でも取り上げられた。
 対象としても人気があるみたい。 ここは大正12年からやっているのだそうだ。

名古屋からならすぐ行けるので名古屋の銭湯ファンはGO!です。

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