子供からおじいさんまで、古き良き時代は今日も続く。
<DATA> 開店: 16:00 閉店: 22:00 定休日:金 住所: 愛知県江南市古知野町北屋敷212 電話:0587-56-2538 |
調査日:2004/2/11(水祝日)
この界隈はなつかしい感じの商店街があちこちに残っている。江南駅よりやや西に位置する。
近くにバローショッピングセンターがあり、その東側。
近くには廃業してしまった銭湯の煙突があるので間違えないようにしてほしい。
こちらはやや広い通りの商店街に面しており、アーチを描いた外壁の建物である。
左が女湯、右が男湯。引き戸をあけるとすぐに脱衣場かとおもいきや、
下足箱が通り側の面にある土間のスペースだった。中の引き戸は波ガラスである。これを開けて脱衣場へ。
午後5時ごろにおとずれたが近所の子供やおじさんたちでにぎわっていた。
町並もそうだがなにか古き良き昭和の時代を感じさせるシチュエーションである。
番台のおじさんも強面だが実におだやかで感じのよい方であった。
こどもたちがじゃれついていた。慕われているようである。
ロッカーは外壁側でここはアクリル蓋のもので新しくなっている。
男女仕切り側は一面鏡。 男女仕切りの番台前は一部カーテンになっている。
これはドリンク冷蔵庫がどちらか1方にしかない場合に使われたりしている。
非常にレトロなタイプのマッサージチェアも緩衝地帯寄りに置かれる。
変わっているのは緩衝地帯のレイアウトだ。 普通名古屋の場合、脱衣場と浴室に平行にあるのだが、
ここは男女仕切り側に三角形に別室になっている。脱衣場側の入り口は斜めで総ガラス張り。
見通しの良さは東京銭湯なみだ。 この形状のため、流しは必然的に男女仕切り側に配置。
細かいタイルで貼られている。
浴室への引き戸を開ける。 中にはいってうれしくなった。しっかりモザイクタイルの壁画がある。
絵は男女側でつながったもので、1cm角タイルで描かれた龍宮城が中央にある海の図案だ。
熱帯魚のような魚も泳いでいる。状態が良い。
あとで番台のおじさんにうかがったのだが、この龍宮城には亀がいないと笑っていた。
天井は四角錘型で中央にやや大きめの湯気抜き。上部に窓があり明かりが入る。
外壁側上部に窓があり、この窓の枠がアルミサッシなどではなく木製だ。
天井も白いペンキで塗られた木製。そういえば脱衣場の窓枠などもすべて木だった。 これは貴重といえる。
普通このクラスの銭湯になると窓枠あたりはのきなみアルミに交換されてしまっているからだ。
浴槽レイアウトをみてみよう。 センター浴槽だ。
浴室中央に1文字に走る。手前から、ジェット、電気、白湯とシンプル。
ジェットは脱衣場側からふきだし縦長。 電気のパワーはやや弱め。心地よい程度。
一番奥の白湯は横長になっていて、四方に段差がもうけられている。白湯以外は名古屋的温度。
白湯はやや高めの温度だが、東京銭湯にくらべればぬるい部類だろう。
入っていたおじさんが、いつもは入れないくらい熱い、、きょうはいい温度だなぁ、としゃべっていた。
多分いつもの温度で自分はいいかもしれない。 洗い場は男女仕切り側と外壁側。
歴史のある銭湯だが、清潔に保たれており、お客のマナーもやはり良い。 伝統的銭湯はこうでなくては。
私が出るころには入っていたお客の第1陣は出て行っていた。
はじまって1時間ほどはご近所の常連さんで一杯だがそれを過ぎるとそうでもなく、のんびりした時間がながれる。
番台でおやじさんにいろいろお話をうかがえてよかった。
モザイクタイルの職人さんがいないのと、タイルの補修は在庫をいくらかもっていてそれで行っているそうだ。
純木造だから実は乾燥に弱いと教えてくれた。乾くと木がひび割れてしまうので、
お休みの日でも掃除して新しい水を張っておくようにして防止しているとのこと。
本当はアルミサッシとかに替えたいんだけどね、と語っておられたがマニアの立場から言わせてもらえば、
今の状態がとても魅力的に見えるのですが、、、
前に浴室に白い幕を張って、湯を抜き、座布団をしいて近所の幼稚園貸切で
映画の上映会をやったことがあったそうだ。ちょうど湯船が背もたれになったりしてよかったとか、
子供たちが喜んでくれて好評だったとかなつかしそうに語ってくれた。
そんなイベントがあったら私も是非参加したいのだが。
ご近所に愛される銭湯なのはこんなおやじさんの人柄があるからなのかもしれない。
ここも愛知県だから共通回数券が使える。
手持ちの市内の券を見せたら江南市のはこんなのだよって見せてくれた。
江南にも来た記念に1枚手持ちのものと交換してもらった。
市内の回数券はコンプリートしたが、県内では一体何種類あるのだろうか、、
いい風呂だったし、勉強にもなったし、なにより雰囲気があたたかかった。
レトロ銭湯ファンに是非オススメしたい銭湯の一つである。